新年のご挨拶
新年あけましておめでとうございます。
昨年2月の経済財政諮問会議民間議員の提案「大学の努力と成果に応じた国立大学運営費交付金の配分ルール」は、特定指標による短期的な評価で運営費交付金を傾斜配分し、市場原理により大学を淘汰しようとするものでした。これに対し、各国立大学、国立大学協会、文部科学省、全国知事会が反論しました。結果として、6月に「経済財政改革の基本方針2007」が閣議決定されましたが、財政再建路線の「骨太2006」の閣議決定をも踏襲して、今年度の厳しい予算配分案が決定されました。
諸外国では、人材養成こそが国力の源泉であると考えて、何よりも優先して、高等教育への公財政支出の増強を図っています。国際的競争に打ち勝って、イノベーション25、科学技術創造立国等の施策を実現するためや、地域の知の拠点として教育?医療?文化?経済の振興へ寄与するためには、我が国の将来を長期的に見据えた政策と予算投入が成されるべきと考えています。
熊本大学は、法人化後の厳しい財政状況と競争的環境の中で、国際水準の教育と世界をリードする学術研究、先端医療、高度地域医療、産学官連携等を通じた地域貢献を実施しており、地域に根ざしつつ、国際的に存在感を示す大学として発展を遂げるべく、全構成員の英知と創意を結集して努力しております。
昨年の実績のうち、主な事項のみ挙げますと、感染制御学(肥後銀行)寄附講座の設置、「eラーニング推進機構」の設置、科学技術振興調整費による「挑戦的若手研究者の自立支援人事制度改革」及び「みなまた環境マイスター養成プログラム」の採択、政策創造研究センターと生涯学習教育研究センターの統合、発生医学におけるグローバルCOEプログラムの採択、バイオエレクトリクスセンターの設置、次世代マグネシウム合金研究のコア研究室竣工、8件の教育GPの獲得、DOWAホールディングス株式会社、メディア教育開発センター、熊本市、水俣市との包括連携協定締結、10機関との海外交流協定の締結、アジア国際連携人材育成プログラムの実施、第五高等学校開校120周年記念式典、エイズ学研究センター創立10周年記念国際シンポジウムの実施、熊本大学支援者会設立と「熊本大学基金」設立、「熊本大学フォーラム」と「第3回環黄海産学官連携大学総(学)長フォーラム」の開催等があります。
今年は、本中期目標計画期間の業務?教育?研究を含めた「法人評価」を受ける重要な年でもあります。すなわち、私共の今年のミッションは、「今期目標計画の確実な達成による最上級の評価の獲得と、円滑で勢いを持った次期への移行のための基盤構築」であります。
今年の主な活動としては、以下のことが挙げられます。まず、4月から文学研究科と法学研究科を廃止し、社会文化科学研究科の前期修士課程とすると共に、「教授システム学」博士専攻の新設を含む、博士課程充実のための改組の実施と、大学院保健学教育部を設置いたします。また、21年度に向けて、教育現場に求められる実践的資質能力の高い教員養成を目指した教育学部と教育学研究科の改組案を策定します。さらに、グローバルCOEの獲得、知的財産創生推進本部の改組、留学生センターの改組と全学国際化推進機構(仮称)の設置、インドネシアにおける第6回熊本大学フォーラムの実施等を実現したいと考えています。
施設整備については、この5月に医学部図書講義棟が竣工しますが、平成19年度補正予算として内示のありました、法文棟の改修、教育学部棟の改修、旧工学部3号館の耐震改修、大江渡鹿体育館の耐震改修に着工します。これらに加えて、発生医学のグローバルCOEや若手人材養成テニュアトラックプログラムの研究スペースを確保するための本荘中地区の共用研究棟の新築、こばと保育園の新築、留学生宿舎の新築、黒髪南地区食堂の新築に着手したいと考えています。これら「施設整備」に加えて、「熊本大学基金」の充実と次の10年のための熊本大学の将来計画の策定が、次期への基盤構築のため肝要と考えています。
年頭にあたり、平成19年の実績?成果を踏まえて、平成20年の私共のミッションが達成できますよう、学内外の関係各位の御理解と御協力、御支援を心からお願い申し上げます。
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