坂下玲子研究室(教育学部)
Lab’s data【坂下研究室データ】
- 修論?卒論テーマ
中学校保健体育科授業におけるメタ認知育成の事例研究
中学校保健体育科における協同学習の効果に関する研究
熊本県中学校におけるダンス授業についての研究ー中学校教員を対象とした調査に基づいてー
- メンバー
学部4年生6人、3年生5人、大学院教育学研究科3人
子どもたちが「自分を向上できる」
その自信を育む体育教育を考える
やらされるのではなく やりたいからやる運動を
積極的に体を動かすことは、成人した後の健康づくりに大きく影響します。小?中学校時代に運動が楽しいと思えるか否かは、その後の人生にも大きくかかわると言えます。それでも、体育は苦手と思う子どもが少なくないことも事実です。
「私の研究は、小?中学校におけるより良い体育授業をつくること。子どもたちが主体的に体育に取り組むことをねらいとして、教材や指導法などを考えます」。こう話すのが保健体育科教育を専門とする坂下玲子教授です。「主体的に、というのは、子どもたちがやりたいからやる、と思えること。ユネスコの定義では、スポーツには遊びの要素が含まれる、とあります。授業でもやらされるのではなく、遊びと同じように、やりたいからやる運動との出会いをつくっていく。先生がきっかけや、ポイントごとに方向性を示し、その中で子どもたちが自分で試行錯誤しながら、それまでの自分よりちょっとでもうまく何かができるようになった、そんな新たな自分との出会いを子どもたちが得られることが目的です」。
競争相手は昨日の自分 試行錯誤が大切
具体的な例として、現在学生が卒論で研究している熊本大学教育学部附属小学校の先生の授業づくりを教えてくれました。「サッカーは、三次元でボールが動くので、普段やらない女の子などには難しいスポーツです。そこで先生が教具を工夫して、ドッヂビーを2枚合わせたような円盤型のボールにしました。すると地面をすべるだけなので蹴りやすく止めやすくなるわけです」。スポーツをそのまま与えるのではなく、教材や指導法を工夫することで、まずは誰もが取り組みやすくします。個人差の大きい短距離走などは、「人と競うのではなく、自分の記録にチャレンジします。記録をもう少し縮めるためにはどうすればいいか、自分で試行錯誤したり、あるいは友だちに協力してもらったり」。子どもたちには、体育を通じて社会性を身に着け、さらに試行錯誤する楽しさ、工夫する楽しさを知ってほしいと坂下教授は話します。
自分が変わることを実感しやすいのも「体育の良さ」と坂下教授。「学生たちには、先生になった時、子どもたちとしっかりかかわって観察し、ちょっとでも伸びたらほめてあげることを大切にしてほしい。それができるのも体育のいいところですから。先生が子どもたちと一緒に活動し、コミュニケーションがとりやすい科目です」。
そんな子どもたちとのコミュニケーションは、「私より学生たちのほうが上手。子どもたちとすぐに仲良くなります」。坂下教授も、学部生との授業で学生たちと一緒になって思い切り体を動かします。終始はじけるような笑顔で誰よりもはつらつとしている姿が印象的。「私自身、学生と一緒にやるということが本当に楽しいと思っています」。
Interview
教育学部小学校教員養成課程4年 福永 里桜さん(左) |
教育学部中学校教員養成課程保健体育4年 中川 瞳さん(右) |
坂下先生がやさしいこと、そして女性の先輩が多かったこともあってこの研究室を選びました。人数が多くて、楽しい研究室です。坂下先生は特別支援学校の校長先生もされているので、支援を要する子どもへの指導法など勉強になることが多いです。体づくりの領域についても詳しく知ることができました。 私は子どもが大好き。毎日子どもたちと一緒にいられるって幸せだと思って小学校の教師を目指しました。現在は卒論準備中。私のテーマは「子どもの運動スポーツ行動に親が与える影響について」です。授業というよりは子育ての目線で研究に取り組んでみたくて選びました。 |
体育が一番得意で、特に水泳をずっとやっていて大学でも水泳部だったので、主専攻に体育を選びました。坂下先生は学生にやりたいことをやらせてくれる先生。卒論のテーマも自由で、やりたいものを選びみんなで話し合い、先生がアドバイスをくださる、そんなスタイルの研究室です。私の卒論研究は「着衣泳について」。来年から小学校の現場に入るので、少しでも仕事につながればと思っています。 小学校の先生になったら、体を動かすことを楽しいと思ってもらえる授業づくりをしたいと思っています。今は競争競争という体育ではないので、子どもたちが、自分がチャレンジしてできるようになった、という思いを積み重ねてもらえるような体育の授業をしていきたいと思っています。 |
密着!坂下研究室
毎年ダンスを創作し、保健体育科学生全員で発表会に出場します。 平成26年度作品「う!ご!き!だ!せ!」 |
(熊大通信67号 (2018 Winter)1月発行)
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