高齢者において、認知症に誤診されうる発達障害が存在することを世界に先駆けて報告

【ポイント】

  • 認知症専門外来を認知症疑いで受診した患者446名のうち、7名(1.6%)が発達障害(ADHD)であったことが判明した。
  • 先天的な疾患と考えられている発達障害が、加齢により後天的に顕在化する可能性があることが示唆された。
  • ADHDと診断された高齢患者の約半数が、治療薬により症状が改善した。

【概要説明】

 熊本大学病院神経精神科の佐々木博之特任助教、同大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座の竹林 実教授らの研究グループは、認知症が疑われ熊本大学病院の認知症専門外来に紹介された446名の患者について調査研究を行ったところ、7名(1.6%)の患者が認知症ではなく、発達障害の一つである注意欠陥多動性障害(ADHD)であったことを世界に先駆けて報告しました。このことにより、先天的な疾患と考えられている発達障害が、加齢により後天的に顕在化する新しい可能性が示唆されました。さらに、認知症と誤診されうる発達障害の高齢患者の約半数は、ADHDの治療薬で症状が改善したことから、適切に診断し治療を行うことで回復する可能性があることが明らかとなりました。本研究は、高齢者診療において重要な知見であると考えられます。

 本研究成果は令和4年5月24日に英国科学雑誌「BMC Psychiatry」に掲載されました。

 本研究は文部科学省科学研究費助成事業の支援を受けて実施したものです。

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【論文情報】
論文名 Late-manifestation of attention-deficit/hyperactivity disorder in older adults: an observational study
著者名 Hiroyuki Sasaki, Tadashi Jono, Ryuji Fukuhara, Kazuki Honda, Tomohisa Ishikawa, Shuken Boku and Minoru Takebayashi
掲載誌 BMC Psychiatry (2022) 22:354
doi:10.1186/s12888-022-03978-0
URL:https://doi.org/10.1186/s12888-022-03978-0

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【詳細】 プレスリリース(PDF424KB)



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お問い合わせ
熊本大学病院 神経精神科
担当:特任助教 佐々木 博之
電話:096-373-5184

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