心停止患者における性別と年齢の影響を明らかに-若年女性への救命活動啓発の重要性-
【ポイント】
- これまでの研究では、心停止した患者が若年の女性の場合には、居合わせた人による自動体外式除細動器(AED)などの救命措置が実施された割合が低いことが報告されていますが、この性別や年齢による格差が、心停止後の神経学的予後にどのような影響を及ぼしているかについては十分に分かっていませんでした。
- 本研究では、心停止患者の年齢や性別によって、AEDによる電気的除細動や心肺蘇生法(CPR)の実施率及び処置の実施による神経学的予後への影響が異なることを明らかにしました。
- 今後もAEDによる除細動及びCPRを受ける割合や神経学的な予後等の問題に取り組み、心停止患者への救命活動の普及と予後改善に貢献していきます。
【概要説明】
熊本大学病院の石井正将(医療情報経営企画部講師)及び辻田賢一(循環器内科教授)らは、東京大学、日本循環器学会蘇生科学検討会等の研究チームと共同し、総務省消防庁の救急蘇生統計に係るデータを利用して、心停止患者の年齢や性別が救命活動の施行や神経学的予後に及ぼす影響を検討しました。この研究では2005年から2020年までの日本全国規模でのデータを統計分析することで、心停止患者の年齢や性別によって、自動体外式除細動器(AED)による電気的除細動や心肺蘇生法(CPR)の実施率及び処置の実施による神経学的予後への影響が異なることを明らかにしました。本研究の成果は、日本時間の7月6日(木)午前0時(中央標準時間7月5日(水)午前10時)に医学分野の学術誌「JAMA Network Open」に掲載されました。
?【展開】
この研究は、院外心停止の救命活動において性別や年齢に配慮する必要性を強調し、より多くの人々が救命措置を行えるようにするための啓発活動や教育の重要性を訴えるものです。今後もこの問題に取り組み、心停止患者への救命活動の普及と予後改善に貢献していきます。
【論文情報】
- 論文名:Sex- and Age-Based Disparities in Public Access Defibrillation, Bystander Cardiopulmonary Resuscitation, and Neurological Outcome in Cardiac Arrest.
- 著者:Masanobu Ishii, Kenichi Tsujita, Tomohisa Seki, Masafumi Okada, Kazumi Kubota, Kenichi Matsushita, Koichi Kaikita, Naohiro Yonemoto, Yoshio Tahara, Takanori Ikeda, and the JCS-ReSS Investigators
- 掲載誌:JAMA Network Open
- doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.21783
- URL:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2806840
【詳細】 プレスリリース(PDF456KB)
お問い合わせ
熊本大学病院 医療情報経営企画部
担当:副部長/講師 石井 正将
電話:096-373-5738
E-mail:mishii4※kumamoto-u.ac.jp
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